雄一とわたしは、大学の『歴史研究会』で知り合った。 派手なことやスポーツが苦手なわたしは、本を読むのが好きだった。 特に時代小説が。 そして、大学中のサークルを見学した中で、この会が一番地味だった。 ただそれだけの理由。 好きな時代小説を一人で読んでいても不思議がられなくて、取りあえず自分の居場所が確保できる。 人付き合いの苦手なわたしには、願ってもない待遇だ。 わたしはここでひっそりと生息する筈だった。