「華(ハナ)、花火見にいかない?」 雄一にそう言われたのは、大学も二年にあがった夏休みに入る少し前。 わたしは、二つ返事で頷いた。 「わたしが花火好きなの知ってるでしょ。聞くまでもないじゃない?」 「いや……、ちょっと遠くだから」 「え、何処の?」 「俺の実家の秋田。 大曲の花火。 日本一だぞ」 わたしは暫く言葉を失った。