川東さんが言っていた通り、山越えで、わたし達は渋滞に巻き込まれた。



「大曲へは、この道一本だから仕方ない。焦ってもどうにもならん。

華、暑いけどクーラー切るな。

窓開けて」


ピクリとも動かない車の連なりを眺めて、雄一がクーラーを止めた。

窓を開けると、以外に涼しい風が入って来た。


「花火が終われば、秋田はもう秋だ。そして、すぐまた冬がくる」


そんなことを呟いた。


「華、ごめんな。

なんか、こっち来てずっと、辛い思いばっかりさせてるな、俺。

やっぱり酷い奴だな。

でも、わかって欲しいんだ。

今日がなけりゃ、明日につなげることができなかった」


「うん。なんとなく、わかる気がするよ。でも……」

「でも?」

「わたしがずっと苦しんでいたことを、雄一が知っていたなんて、ショックだった」



わたしは、風に吹かれ、そう吐き捨てるように言った。