「着いたよ、ここが家」
車を降りてわかったことは、雄一の家が造り酒屋だということだった。
「大っきい家だね」
そしてそれは、雄一がこの家の跡取りだということを示していた。
――わたしと同じだ。
二人は決して結ばれることはない。
そう直感した。
「ここは店。母屋はこの奥。あ、その後ろは酒蔵だから」
驚きで立ちすくむあたしをよそに、雄一は店の奥へと入っていった。
「だだいまぁ」
「雄一はん、おかえりやす」
奥から、綺麗な女の人が顔を出した。
「お義母さん、こちらが二階堂華さん。
華、これが俺の義母(ハハ)」
「優子どす。よろしゅうお見知りおきを」
滑らかな、京言葉がその口からこぼれた。
「義母は京都の出なんだ」
「はじめまして、二階堂華です。
この度は、雄一さんにお誘い頂きまして、花火見物にお邪魔しました」
「嗚呼、大曲の花火どすなぁ。ここらでは一番の自慢どすえ。
あ、あらま……華さん……」
大きく会釈して、顔を上げると、そこには優子さんの驚いた顔があった。



