病院へ運ばれた母は、なんとか一命を取り留めたものの絶対安静が続いていた。



病名は、心筋梗塞。


医師の話では、もう大分前から痛んでいた筈だということだった。

応急処置的な薬物治療で、詰まった血管にも少しは血が流れるようになったけれど、体調が安定次第、カテーテル手術を施して詰まった血管を広げなければならないと告げられた。

このまま放置して、次の発作が起きたら、今度こそ心臓が止まってしまいますよ、と脅かされもした。


何事にも我慢強い母の性格が、ここまで病状を悪化させてしまったのだろうか?

それとも、気付いていたけどワザと放置していた?


どちらにしても、こうなってしまったからには仕方がない。


天に祈るような気持ちで、父と二人、母の目覚めるのを待った。