華と…




「真由美さんのお相手は……」



「病院で知り合った、かなり年配の男性だと、風の便りに聞きました。

実際のところ、彼は大きな酒問屋の旦那で。

彼女の父親と同じ肝臓癌だったのです。

幸い発見が早かったので、彼は手術でなんとか窮地を乗り切ったのですが。

術後、少し未来に希望が持てる気持ちになった時、真由美に出会ったのですね。

彼は彼女の境遇を見かねて援助を申し出た。

勿論、親子程の歳の差とか、自分の病気の再発のこととか、世間や親類縁者の目、全てのことを考えたのでしょう。

一般的に考えて、肝臓癌は転移が怖い。

彼は、老い先短い命と覚悟を決めた上で、その代わり、自分の最後を彼女に看取って欲しいと願ったのです」