しばらく間があって、上から聞き覚えのある声が降ってきた。



「華さん?

わたしですよ、坂本です」


「えっ?」


と驚いて顔を上げると、困惑気味の坂本の顔があった。


「雄一くんと喧嘩でも?」


彼は、全てをお見通し、というように小さく溜息をついた。


「そのままじゃ、帰れませんね。

少し何処かで休みましょう。

そうだ、この先の甘味屋なんてどうですか?

華さん、小さい頃はよくご一緒したんですよ、覚えてませんか」



その声はどこか嬉しそうで……