「華、今日は山に山菜取りに行こう」



晴天が何日か続いたある朝食の席で、雄一があたしを誘った。


「ばっけか?」


雄蔵お父さんが嬉しそうに雄一を見た。


「うん、この晴天続きで、そろそろかなって」

「んだな」

「ばっけ?」


わたしは耳慣れない言葉に首を捻った。


「美味いぞ。

わしの大好物だ。

いっぺ採ってきてけれ」


大分暖かくなって、街の雪は粗方消えたとはいえ、山にはまだ雪が沢山残っていた。


桜の開花も、秋田では五月と聞く。


あたしは狐につままれたように納得がいかないまま、雄一の運転する車に乗り込んだ。