再び歩き出す。

「智香ちゃん、可愛いね。
許嫁がいたなんて知らなかったよ。」

「あぁ…」

拓真の返事が覚束ない。

「どうか、した?」

「何でもないよ。
久しぶりに会って、びっくりしただけ。」

「そう……」

2人の間に、何があるのかは知らない。

あたしはにきっと、
入り込めない、2人だけの世界。


幼なじみって、もっと、
何でも分かってると思ってた。

小さいときも、付き合ってたときも、
許嫁がいたなんて、話してくれなかった。

もちろん、
全部を話さなきゃいけない
わけじゃないし、
話したくなかったら、話さなくてもいい。

ただ、ちょっと、悲しい。


許嫁がいたのに、
何であたしと付き合ってたの?

許嫁がいたから、
七海に付き合ってたことを
言うなって言ったの?


今でこそ、普通に幼なじみに戻ったけど、
だからといってあの頃が
なくなるわけじゃない。

なんか、色々ゴチャゴチャしてきた…


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