「じゃあ、誰も継ぐ人いないじゃん。」
「1人だけ。」
「え、いんの?
親父さんて甥とか姪とかいたっけ。」
「パパの年子の弟の娘さんがね…」
「いいじゃん!」
拓真が横やりを入れてくる。
「最後まで話聞きなさいよ。
その娘さんがね、
もうすぐ子供が産まれるんだって。
で、その子がもしかしたら。」
「なるほど。
なんか色々あるんだなぁ〜」
流れる景色を見ながらしみじみと言った。
『風見ー、風見でございます。
足元にお気をつけください。』
学校の最寄り駅に着いて、電車を降りる。
なんとなく話すこともなくなって
2人とも無言で歩く。
「……あれ?拓真くん?」
後ろの方から声がして振り向くと、
そこには可愛い女の子が立っていた。
「智香…」
「久しぶり!
日本に戻ってきてたんだね!」
智香と呼ばれた女の子は
あたしとは違う制服を着てる。
多分、近くにある名門女子校の。
「あぁ、ついこの前戻った。」
「カッコよくなってたから、
一瞬誰か分かんなかったよ〜」
智香ちゃんは拓真の古い知り合いっぽい。
拓真から女の子絡みの話は
聞いたことないなぁ…。
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