駅に着いて、いつもの電車に乗り込む。

各駅停車だからわりと空いている。

「座る?」

2つ並んで開いている席を指さして、
拓真が聞いてくる。

ちょっととまどったけど、
うん、と返事をして隣に座った。


「あ、そういえば拓真さ、
留学はどうだったの?」

経営の勉強なんて
難しいに決まってる。

あたしには絶対、無理!


「めちゃくちゃ楽しかったよ。
分かんないことも多かったけど、
行ってよかったと思う。」

そう言った拓真の瞳はキラキラしてて、
本当に楽しかったんだなって分かる。

「拓真は小さいころから、
お父さんの会社継ぐんだって
嬉しそうに言ってたもんね。」


拓真の夢は小さいころからずっと、
お父さんの会社の社長さん。

あたしとは全くの正反対で、
何でそんなに親の会社を継ぎたいのか
不思議でしょうがない。


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