試着を終えて、七海に見せる。
「どう…かな。
似合ってなかったらハッキリ言ってよ!」
七海がぽかん、と口を開けたまま
フリーズしている。
「七海、七海。 どう?」
「あ、ごめん。
びっくりしちゃって。」
我に返ったのか、
あたしをじっくりと見定める。
「変…?」
「いや… ねぇ、早紀。」
七海が真剣な目をするから、
こっちまで緊張してきた…
「な…なに?」
ゴクン、と喉が鳴るのが分かる。
「あんた今まで、
かなりもったいないことしてたよ。」
「もったいない?」
「あんた、めちゃくちゃ可愛いよ。」
――――『可愛いよ』?
「ええぇぇぇぇぇえ?!!」
「うっさい。
似合うよ、早紀。
どんな男もイチコロだね!」
「イチコロって…。」
さすがにそれはない。
「これは買うしかないよ!
早紀も自分で似合うと思うでしょ?」
「自分じゃよく分かんないよ。」
「とにかく!
これは買うべきだよ!ね?」
…ちょっとは、いつもと違うものを
チャレンジしてもいいかな
「………うん、買う。」
「やった!
じゃあレジに行こ!」
七海が服を持って行こうとする。
「ちょっと待って!」
「ん?」
「値段、見なきゃ。
高かったら買えないし。」
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