一年と二ヵ月



「綺麗……」

「あれ、早紀にしては珍しい。」


手に取ったのはグラデーションのピンク。

裾に向かうほどに濃くなって、
かといって主張することはなく、
むしろ洗練された大人っぽさを
イメージさせる。


「いつも、黒とか紺とか
暗い色ばっか選ぶのに。」

「ピンクの服とか、
着たいって思ったことない。
やっぱあたし、似合わないかも…。」


『カワイイ系のあたし』

…………想像出来ない。


「試着してみれば?」

「うん…」

すいませーん、と店員さんを呼んで
ロンパースを試着する。

重ためだと思ってたのは、
案外軽くて着心地がいい。


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