一年と二ヵ月



《もしもし、もしもし?
大丈夫ですか?》

「…っあ、すいません。
大丈夫です。」

ぼうっとしてた。


結局、あたしが電話しないと
裕太兄に電話しないと言い張った七海。


あのままウジウジ悩まれるのも嫌だから
しょうがなく、一週間後の今日、
仕事に迷惑がかからないように
21時にあの人に電話をした。


《連絡くれたってことは、
お礼してもいいってことですよね?》

「はぁ…、まぁ。」

《じゃあ、食事に行きませんか?》


―――『食事』っっ?!


そんな、食事をごちそうになるほど、
大それたことはしてない。


「それは困ります…。」

《お願いします。
お礼しなきゃ、ムズムズするんです。

僕のためだと思って。ね?》


ね?って。
これじゃあ、脅迫だよ…

もう、断れないじゃんか…


「…じゃあ、ごちそうになります。」

《良かった!
今週の土曜日はどうかな?》

「大丈夫です。」

《じゃあ、久賀駅前に18時でいい?》

「分かりました。じゃあ、土曜に。
失礼しまーす…。」


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