「じゃあ、裏口から出るぞ、ハル」


「うん、わかった」


マスターとハルは、店の裏口から出ると店の裏に駐車してあった古い型のライトバンに乗り込んだ。


「エアコン壊れてっから、ちょっと暑いけど我慢な」


マスターはイグニッションキーを捻ってエンジンを掛けようとするが、


セルモーターが弱々しく唸るだけでなかなかエンジンが始動しない。


「くっそー、バッテリーが弱ってるみたいだ、こんな時に限って……、


たのむ、掛かってくれ」



ハンドルに頭を付け祈るようにマスターはキーを廻している。