心臓を鷲づかみされたような苦しさ、呼吸も困難になり頭が割れそうに痛み出した。


ケンイチのどす黒く渦巻く殺意、闘争本能。その象徴である赤い魚。母親殺害。


ケンイチの忌まわしい呪事の記憶が今まさに男を飲み込もうとしていた。


ケンイチの激しい思念が男の精神を支配してゆく。


ケンイチの強靭な生存本能が男の自我を突き崩しかけていた、今男の精神は崩壊寸前に達していた。