母親を殺した……。僕が殺した。


でもその記憶もずいぶん曖昧になってしまった。


もう夢の中の出来事のような気がしている。


死んでしまえば罪は消えるのか……。


わからなかった。もうどうでも良かった。


ケンイチは部屋を出ると食堂に向かった。


台所の包丁が入っている抽斗をあけると一番大きな牛刀を取り出した。


疲れた―。もうこれ以上生きていても意味がない。


ケンイチはここで死のうと思った。