ケンイチあまりの痛みで息が出来なかった。
たまらずうずくまり体を折って床に反吐を吐いた。
それからケンイチは保健室と呼ばれている独房に手錠とヘッドギア、拘束衣をかけられて二週間入れられた。
それは、新入りの収容者に課せられるここでの儀式でありこの施設の習慣であった。
これは新参の収容者の毒気を抜く事が目的の隔離であった。
院長のカリヤはここで静かに瞑想し自分の犯した罪の反省をする事をケンイチに命じた。
一人部屋の中、拘束されながら、ケンイチは母親の事を思った。
傷つけた少年の事を。
幼い頃の事を思った。
楽しい思い出などひとつもなかった。
