「じゃあ、オレも一生のお願い」

「うん、なに?」

「“どうか無事に産んでください”」


そう言って、力強く抱きしめられた。

その声は少し沈んでいて、真剣。


「もしも何かあったときに、自分の命を優先するって約束できるか…?」


何かあったとき。

そんな想定はしてないわけじゃなかったけど、改めて言われて、その危険があることを知る。

まさに“命がけ”ってこと。


「柚希を失いたくないんだ…」


私の存在を確かめるみたいに、痛いくらい抱きしめられる。

律の思いが痛いほどわかる。

複雑だけど、その“一生のお願い”にはうなずくしかなかった。