律は私の横に座って、手をとって、しばらくうつむいて考えているみたいだった。

そして、しばらくして頷く。


「…柚希の“お願い”攻撃にはかなわないよ、マジで」

「てことは…」

「いいよ、オレも協力する」

「ほんとにいいの?」

「うん」


律に抱きついた。

忙しすぎてちょっと痩せてしまった体は、それでも広くて、私を包み込む。


「産婦人科って苦手なんだよなぁ。大学のときにマジでわかんなくて、追試になりそうだったから…」


律の手には“標準産科学”とかいうタイトルの教科書。

もしかして、勉強してくれてたの?