律の温かい手が、強く握られる。


「どんなデカイ壁もふたりで乗り越えていこうって、そういう意味じゃないの?」


結婚って何?

紙切れ一枚の契約?

…そんなはず、ない。

律の言葉で思い出した。

結婚したての頃、言ってたこと。


「家族なんだから、悲しいことは半分ずつ分け合うんじゃなかった?」

「…うん…」

「だから、ひとりになるなってこと。世話焼かすんじゃねーっつの…」


“家族なんだから”

そのセリフが、じーんとした。

今は悲しいけど、律と一緒なら乗り越えていけるはずだから…

そう思うと、少し心が軽くなった。

この壁もきっと乗り越えていけるはず。