「オレが寒いから、中入るぞ」

「なら、着てればいいじゃん!?」

「それじゃあ格好つかないじゃん!?」

「なんで格好つけんの!?」

「わかんねーよ!!」


律の無茶苦茶な説得。

普段なら笑えるのに、全然笑えない。


「…とにかく!自分のことよか、柚希のことの方が大事なんだよっ!!」


…そんな風に言われると…。

律は腕をつかんだ手を離して、私の手をとって優しく引いた。


「ひとりになんなよ…」


ポツリ、独り言のように言う。


「オレの存在意義は?なんで結婚した?こういう時こそ頼れよ…」