律が帰ってきても何も言えず。

突然くる吐き気を、悟られないようにするのに必死で。


「あ、そうだ柚希」

「なに?」

「吉岡先生が、次の診察のとき造影CT撮ろうってさ。問診票書いて持って行きなよ」

「また検査~?」

「そう言わないの」


律に手渡された問診票。

いつも書いてるのと同じように、質問に丸をつけていくけど…

“妊娠している可能性はありますか?”

その質問で、ペンが止まる。

いつもは考えるまでもなく“いいえ”に丸をするはずの質問なのに。


「あの、ね…」

「ん、どうした?」


一人では抱えきれない問題に直面してしまって、もう、律に頼るしかない。

怒られることは確実。

でも、隠しきれないから。