「何かあそこ人集まってるね」


真白と並んで歩いていると、あたしが指を指した方には、人が集まっていて、そこから男の低い大声が響いていた。


「酔っ払い同士のケンカじゃねぇか?」


「そうかも」なんて返事を返した時だった。


「ゆきちゃん!」


綺麗なソプラノボイスが“ユキちゃん”て叫ぶのが聞こえて、思わずあたしは足を止め人集りの方に再度目を向けた。


人集りの隙間から見えたのは、金髪の男女と、ガラの悪そうな男たちが3人だった。


あたしが見間違える訳がない。あの金髪に、あの見覚えのある背中は――――。


「――ユキちゃん!?」