こういった場面は珍しくもないけど、俺は女の子を不自然に思った。 見ず知らずの男に手首を掴まれているのに、抵抗はおろか、顔色一つ変えず、全く微動だにしない。 男と目を合わせもせず、まるで人形のように静かに座っている。 『いいよ』 女の子が初めて声を発した。 『いくらくれるの?』 その一言を聞くと、俺は無意識に男に殴りかかっていた。 男は殴られた顔を手で抑えながら逃げて行った。