「お疲れ様でした」と挨拶をして店を出ると、携帯の時間表示は22時になろうとしていた。
「綾都ちゃん!」
突然後ろから侑子さんに呼び止められると、侑子さんは早歩きであたしに近づいてきた。
「今日はお疲れさん。ホンマに助かったわ!」
「いえっ…、そんな…」とオドオドするあたしに、侑子さんは静かに手を伸ばしあたしの頭を軽く叩いた。
「ホンマにえぇ子で…優しい子やね、綾都ちゃんは……。寂しぃなったらいつでも来てくれてかまへんから」
彼女は優しく微笑んで、あたしを見送ってくれた。
――――その時だった。
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