「有限会社楽園ローン?取締役」亜美は、渡された名刺を不思議そうにゆっくりた読み上げた。

「いえ、いえ、薬園です。やくえん。一緒に始めた友人の名前が薬園という名前なので。」男は、照れくさそうに答えた。

なんだか人の良さそうな人だなあ~と亜美は少しホッとした気持ちになった。

「私どもも、これから会社を大きくしたいと思っています。だからヤクザまがいの取り立てをするつもりはないので、月々5万円を一年返済にしませんか?」男の方から切り出した。

「分かりました。利息は高いと思いますが、それで払います。」亜美は、明の顔を見ずに答えた。

「その代わり貴女が保証人になって下さい。」金貸しは平然と亜美に言った。

「分かりました。」亜美は行き掛かり上、速答した。

それから、毎月、亜美は返済の為に男と駅前の喫茶店で会うことになり、4ヵ月目には、その男の子供を授かった。これが、急に与えられた魂である。

一方、明の方は、相変わらずブラブラと毎日を過ごし亜美に会って借金の話をされるのも面倒なので、避けるようになっていた。

亜美と借金取りは、それなりに愛し合い結婚を決めた。



亜美は初産とは思えないほどに楽に「まゆ」を生んだ。