午前の授業は終わり、昼休み




久しぶりに橘さんがいるからか教室がきゃっきゃと騒がしい




あの甲高い声を聞くと頭が痛くなる





私はお弁当を持ち、屋上へ行くことにした





教室を出るとき橘さんの真後ろを通りすぎる





そのとき





『早めに教室戻って来なさい。楽しいことしてあげる』





そう不気味な声が聞こえた





私は聞こえないふりをして教室をでた






屋上に出ると誰もいなくて、
お弁当を開いてもだれもくる気配はない




珍しく一人の屋上





いつもなら少しするとパタンとドアが空いて、隣に末永がくる





けど、教室は来そうもない





久しぶりに一人で落ち着ける
と、そう思いながらもなんだか胸のあたりがざわざわする





そのざわざわを忘れるため、私は目を閉じ、宏太の顔を思い出した





宏太への返事
私がそれを告げれば何か変わる気がる




これからも感情を取り戻す気はないけど、一人だけそれを共感してくれる人か近くにいてくれればいい。





宏太はそんな存在





末永は私と住む世界、考え方が違いすぎる



私は横になり、空を見つめた。





あの日、夏華と約束をした時のような雲一つない大きな空





『結愛?卒業したら遠くへ行こう?この学校の人が誰もいない遠くの学校、一緒にやり直そう?きっとまた楽しいことがまたたくさん待ってるよ?』





『でも夏華、私怖いよ。また同じことになるかもしれない。きっとみんな同じだよ。みんな裏切る』






『大丈夫‼だとしても私がいるから‼私はいつでも結愛の味方だよ?』





ーーーーーーー





『結愛ごめん、ごめんね?私、強くなかった。』






「っっ…!」





ぱっと目をあけ、立ち上がる
Nのネックレスを握りしめ、目の前をぼーっと見つめた




「夏華、あなたは強かった。弱いのは私。ごめん…」




私は屋上を後にし、教室へむかった