【短編】裏山の大木



その大木の悲惨な姿は、弘太郎の想像を超えていた。



…痛い…痛い…助けて…痛い…



そんな大木の声が聞こえて来るような気がした。


「俊…そろそろ帰ろう。雲行きも怪しくなってきたし…」



しかし、俊は、楽しかった。ゴリゴリと、木にキリが入り込む、この感覚が。



「もう少し待ってくれよ!まだ大丈夫だ。」