「…結局、俊は戻って来なんだ。 あの時、もしも、後ろにいたのが自分だったら…。 そう考えるだけで、60年経った今でも、震えが止まらん。」 老人は、疲れたのか、話すのを止めた。 「じゃあ、たかし、っていうひとは、しんじゃったの?」 話を聞いていた子供の一人が声をあげた。