【短編】裏山の大木



普段だったら、しょうがない、と待つ弘太郎も、今日だけは違っていた。

…悪い予感がしたのだ。



「帰らない、って言うんなら、置いて帰るよ!」



ここから麓までの道を、俊は知らない。
俊は、しぶしぶ大木を下りてきた。



(ごめんなさい、大木の精霊さん!)


弘太郎は、一度大木に手を合わせてから、逃げるように帰路についた。