一番奥にはこの戦で奇跡的に無傷だった老齢の医師フィルマンが、久しぶりに再会を果たしたフレゴリー医師と肩を並べ穏やかな表情で見守る。
ライシェルや他の黒の騎士の姿はここには見当たらなかったが、実を言えば、こっそり塔の上から見物していたのだ。
『パサパサパサ』
羽ばたきの音に、朱音がふと顔を上げる。
真っ白な鳩が一羽朱音のすぐ上の青く晴れ上がった空を飛び去っていくところだった。
「クイックル・・・!」
朱音はきょろきょろと周囲を見回した。
けれど残念ながら、優しい紳士の姿は見つけることはできなかった。
「お姫様。誰かお探しかな?」
いつの間にかすぐ近くまでやって来ていた美声が、朱音の耳の近くで小声で囁いた。
真っ赤になった朱音の背を抱き込むように、フェルデンが彼女を受け止めた。
「フェルデン・・・」
色鮮やかな花びらが舞う中で、遠くで塔の上の鐘が祝福の音を響かせている。
鼻をくすぐるとてもいい香りに、朱音はそっと目を閉じて愛する青年の逞しい手をきゅっと握りしめた。
二人は、世界の祝福の中で、新たな一歩を踏み出したのだ。
ライシェルや他の黒の騎士の姿はここには見当たらなかったが、実を言えば、こっそり塔の上から見物していたのだ。
『パサパサパサ』
羽ばたきの音に、朱音がふと顔を上げる。
真っ白な鳩が一羽朱音のすぐ上の青く晴れ上がった空を飛び去っていくところだった。
「クイックル・・・!」
朱音はきょろきょろと周囲を見回した。
けれど残念ながら、優しい紳士の姿は見つけることはできなかった。
「お姫様。誰かお探しかな?」
いつの間にかすぐ近くまでやって来ていた美声が、朱音の耳の近くで小声で囁いた。
真っ赤になった朱音の背を抱き込むように、フェルデンが彼女を受け止めた。
「フェルデン・・・」
色鮮やかな花びらが舞う中で、遠くで塔の上の鐘が祝福の音を響かせている。
鼻をくすぐるとてもいい香りに、朱音はそっと目を閉じて愛する青年の逞しい手をきゅっと握りしめた。
二人は、世界の祝福の中で、新たな一歩を踏み出したのだ。


