その反面、ゴーディアならば混血児である二人への迫害はなかったし、そして何より、あの魔王の側近アザエルが二人の身元を引き受けてくれていたこともあり、とりあえずは居食住と安全は保障されていている。
 ロランはあえて半身から自ら離れて生きる道を選ぶことにした。それは、母の安らかな眠りと、心優しい双子の兄を守る為に選んだ道だったのだ。
 それがまさか、こんな形になろうとは、ロラン自身考えてもみなかった。いつか、真の平和が訪れたとき、二人はまた以前のように再会し、ともに暮らせる日が来ると思っていたのだから・・・。
(ルイ、お前は絶対に自ら危険には飛び込まないタイプだと思っていたんだが・・・)
 ロランはあの優しげに微笑む霞がかった灰の目を思い出していた。
 そして、どうやらやはり二人同じ大切な守りたいものを見つけてしまったことに呆れたような笑いを溢さずにはいられなかった。

 けれど、ロランがこの話を朱音に打ち明けるのは、まだずっと先の話である。