そこへ、サンタシの新国王が現地視察の為たまたま訪れたのが、ロランとヴィクトル王との初めての出会いである。
ヴィクトル王は、固くなに結界を解こうとしないロランを叱り切り捨てるなんてことはしなかった。
ただ、彼はこう言ったのだ。
『君の怒りはも尤もだ。けれど、その力をもっと役立てる気はないか? わたしはまだ若く未熟だ。しかし、今よりももっとよい国にこのサンタシを変えてゆきたいと考えている。今はまだ無理だが、いずれ、この国の誰もが幸せに暮らせる世を創り上げてみせると約束する。どうだ、それまでわたしの元で術師として働かないか? 君の母上には、そんな世が訪れるまでは城の敷地内に仮住まいを用意しよう』
少し吊り上ったブラウンの目は隙がなく、そしてとても利口そうだった。
ロランはゴーディアに残してきたルイのことがひどく気にかかったが、それでもこのヴィクトルという若き国王に懸けてみたいとそう思った。
ルイは負けん気の強いロランとは正反対で、とても気の大人しく優しい少年だった。だからこそ、魔族に対する迫害の強いこの街にルイを連れて帰りたくなかったというのがロランの本音だ。
ヴィクトル王は、固くなに結界を解こうとしないロランを叱り切り捨てるなんてことはしなかった。
ただ、彼はこう言ったのだ。
『君の怒りはも尤もだ。けれど、その力をもっと役立てる気はないか? わたしはまだ若く未熟だ。しかし、今よりももっとよい国にこのサンタシを変えてゆきたいと考えている。今はまだ無理だが、いずれ、この国の誰もが幸せに暮らせる世を創り上げてみせると約束する。どうだ、それまでわたしの元で術師として働かないか? 君の母上には、そんな世が訪れるまでは城の敷地内に仮住まいを用意しよう』
少し吊り上ったブラウンの目は隙がなく、そしてとても利口そうだった。
ロランはゴーディアに残してきたルイのことがひどく気にかかったが、それでもこのヴィクトルという若き国王に懸けてみたいとそう思った。
ルイは負けん気の強いロランとは正反対で、とても気の大人しく優しい少年だった。だからこそ、魔族に対する迫害の強いこの街にルイを連れて帰りたくなかったというのがロランの本音だ。


