『アカネ、君さえよければ、俺の側でずっと一緒にいてくれないか?』
 見慣れた真白い騎士服のフェルデンが、ベッドから出たり入ったりする、数日の休養生活を過ごしていた朱音に突然言った一言だった。
 よく言っている意味がわからないでいた朱音に、フェルデンがこう付け加えた。
『俺は君を后として迎えたい。君を本気で幸せにしたいんだ。少し、考えてみてはくれないか・・・?』
 まさか、こんなに若くして、誰かから求婚されるなんてことは、朱音自身予想だにしていなかった。それも、大国の王様にである。
 まだ、結婚なんてことは今の朱音にははっきり言ってぴんとこないものだった。


「で、どうする気だ?」
 すっかりいつもの調子に戻っている少年に、朱音はもごもごと口篭った。
「どうする気って言われても・・・、わたしまだ中学生だし。・・・って、もう結構日が経ってるから高校生か・・・」