アザエルは手に出現させていた水剣を消失させると、両の手を地に翳した。
先程出現させた水流のせいで湿った地から、水が蒸気となって宙に上がり始めた。それは、すぐに真白い霧となり、ヘロルドの視界を遮る程までになる。
「小細工をっ・・・!」
だがそれは、風使いを相手に通じる術ではなかった。ヘロルドは強風を起こし、あっという間に霧を吹き飛ばしてしまう。
無論、アザエルもそのことを計算に入れてはいた。
何も霧の中に身を隠そうなどという安価な考えではなく、単にこの男から間合いをとるだけの時間稼ぎをする為の策であった。お蔭で、アザエルはヘロルドから相手の魔力を伺いながら闘うだけの間合いをとることに成功していた。
「えらく逃げ腰ではないか、嘗ては魔王の側近と呼ばれたお前が・・・」
ヘロルドの挑発するようなセリフに、アザエルは全く耳を貸そうとはせず、さてどうやって相手の弱点を見極めてやろうかと冷静に思考していた。
「だがな、俺からそんな距離をとったところで、お前には俺の攻撃は読めぬだろう」
ヘロルドは構わずに腕を振り上げた。
再び放たれた風の刃。目に見えぬ攻撃に、アザエルは勘を頼りに避けることしかできない。
またもや、避けたと思われた攻撃は、僅かにアザエルの足の腿を掠めていった。
ぱっくりと裂けた傷からは、また血が流れ出す。いくら致命傷ではないとは言え、このままこうした傷を受け続けるとなると、いずれ身動きが困難になる筈だ。
ヘロルドは、またもや自らの攻撃がアザエルに命中したことに興奮を覚えていた。そして、自分がもしやこの碧髪の男よりも上なのではないか、という自信を感じ始めていた。
「次は胴と首を切り離してくれるわ!」
先程出現させた水流のせいで湿った地から、水が蒸気となって宙に上がり始めた。それは、すぐに真白い霧となり、ヘロルドの視界を遮る程までになる。
「小細工をっ・・・!」
だがそれは、風使いを相手に通じる術ではなかった。ヘロルドは強風を起こし、あっという間に霧を吹き飛ばしてしまう。
無論、アザエルもそのことを計算に入れてはいた。
何も霧の中に身を隠そうなどという安価な考えではなく、単にこの男から間合いをとるだけの時間稼ぎをする為の策であった。お蔭で、アザエルはヘロルドから相手の魔力を伺いながら闘うだけの間合いをとることに成功していた。
「えらく逃げ腰ではないか、嘗ては魔王の側近と呼ばれたお前が・・・」
ヘロルドの挑発するようなセリフに、アザエルは全く耳を貸そうとはせず、さてどうやって相手の弱点を見極めてやろうかと冷静に思考していた。
「だがな、俺からそんな距離をとったところで、お前には俺の攻撃は読めぬだろう」
ヘロルドは構わずに腕を振り上げた。
再び放たれた風の刃。目に見えぬ攻撃に、アザエルは勘を頼りに避けることしかできない。
またもや、避けたと思われた攻撃は、僅かにアザエルの足の腿を掠めていった。
ぱっくりと裂けた傷からは、また血が流れ出す。いくら致命傷ではないとは言え、このままこうした傷を受け続けるとなると、いずれ身動きが困難になる筈だ。
ヘロルドは、またもや自らの攻撃がアザエルに命中したことに興奮を覚えていた。そして、自分がもしやこの碧髪の男よりも上なのではないか、という自信を感じ始めていた。
「次は胴と首を切り離してくれるわ!」


