竜巻は、もう、本当に王都のすぐ脇まで迫っている。
近付くにつれて、空へと吸い込むような強風が巻き起こり始めている。そろそろこうして走って近付くには辛いものを感じ始めていた、そんな時であった。
振り向いたその先に、ゴーディアの兵が一人、柱にもたれ掛かるようにして朗らかに微笑んでいた。
見慣れた揉み上げに、彫りの深い焦げ茶の目。
(ああ・・・、いつも貴方はそうだ。いつもわたしが助けて欲しいと願ったときに、どこからともなく現れてくる)
朱音は、目尻からじわりと熱いものが込み上げてくるの感じた。
「泣かせるつもりはなかったんですが」
困ったように優しく微笑むと、その人は柔らかく朱音の肩を抱いた。
そして、朱音はひどく驚く。もともと痩せ身だった彼だったが、以前よりもより一層痩細ってしまっている事に。
「一体、何があったんですか、クリストフさん・・・!?」
滲む視界で、朱音は震える声で訊ねた。
「合流がすっかり遅くなってしまって、申し訳無かったですね、アカネさん」
彼に只ならぬ何かが起きたことだけは確かだった。けれど、問い詰めたところで、きっと彼は自分から何があったのかを朱音に話すことはしないだろう。
優しい彼だからこそ、朱音に心配を掛けるようなことは決してしない。
「ルイが・・・、ルイが・・・」
「わたしがいない間、とても辛いことがあったようですね」
労わるような優しい声に、朱音は思わず堪えきれなくなった涙を溢した。
近付くにつれて、空へと吸い込むような強風が巻き起こり始めている。そろそろこうして走って近付くには辛いものを感じ始めていた、そんな時であった。
振り向いたその先に、ゴーディアの兵が一人、柱にもたれ掛かるようにして朗らかに微笑んでいた。
見慣れた揉み上げに、彫りの深い焦げ茶の目。
(ああ・・・、いつも貴方はそうだ。いつもわたしが助けて欲しいと願ったときに、どこからともなく現れてくる)
朱音は、目尻からじわりと熱いものが込み上げてくるの感じた。
「泣かせるつもりはなかったんですが」
困ったように優しく微笑むと、その人は柔らかく朱音の肩を抱いた。
そして、朱音はひどく驚く。もともと痩せ身だった彼だったが、以前よりもより一層痩細ってしまっている事に。
「一体、何があったんですか、クリストフさん・・・!?」
滲む視界で、朱音は震える声で訊ねた。
「合流がすっかり遅くなってしまって、申し訳無かったですね、アカネさん」
彼に只ならぬ何かが起きたことだけは確かだった。けれど、問い詰めたところで、きっと彼は自分から何があったのかを朱音に話すことはしないだろう。
優しい彼だからこそ、朱音に心配を掛けるようなことは決してしない。
「ルイが・・・、ルイが・・・」
「わたしがいない間、とても辛いことがあったようですね」
労わるような優しい声に、朱音は思わず堪えきれなくなった涙を溢した。


