朱音は再び王都に迫り来る巨大な竜巻に目をやる。
(だんだん大きくなってる・・・!)
 もう、これ以上こうしてここで止まっている訳にはいかない。
「わたしはなんとかして竜巻を止めてみます! 皆さんは、どうか一般の人たちを助けてあげてください!!」
 朱音は駆け出した。誰かが後ろで何か叫んでいる。
 しかし、もう朱音は止まらなかった。
(止めなきゃ・・・! フェルデンの国を守らなきゃ・・・! 皆を守らなきゃ・・・!!!)
 そうは言っても、今の朱音には、一体どうやってあの巨大な竜巻を止めればいいのか見当がつかない。
 ただ、クロウの身体が何かを覚えているだろうことを信じるしか術は無い。
(クロウ・・・! お願い、どうやったらあの竜巻を止められる・・・!?)
 朱音は心の中で懸命にクロウに呼び掛けた。
(ねえ、クロウ、わたし、一体どうしたらいいの!?)
 しかし、クロウの返答がある筈もなく、朱音はそれでも諦めずに竜巻の向かい来る方へと全力で駆けていた。
(クロウ!!! あれを止めなきゃ、サンタシが滅びちゃうんだよ!? 貴方ならどうすれば救えるのか、知ってる筈でしょ!?)

「お手伝いいたしましょうか? 姫君」
 ふと通り過ぎようとしていた柱の影から、何者かの声が投げかけられた。
「!!??」