「しかし、まだ陛下にお伝えしなければならないことがあります。帰還途中、幾度もゴーディアの元老院からアザエルに向けて刺客が向けられていました。それは、アザエルを通じてゴーディアの国家機密が我国に漏洩することを恐れたことからのようです。リーベル号での嵐の夜、何者かが確かに船内に潜み、事を起こしました。おれとユリウスの邪魔が入らぬよう、飲み物に睡眠薬を混入し・・・。おれは肝心なときに何も目撃していませんが、その後アザエルが船内から忽然と姿を消したのです・・・」
一通りのことを話し終えたフェルデンは、静かにヴィクトル王の反応を待った。
ヴィクトル王は、裏で何やら良くない者の手が回っていることを改めて感じることとなった。
「任務の報告、ご苦労だった・・・。予想以上に困難な旅となったようだな。アカネのこと、誠に残念であった・・・」
フェルデンはふっと視線を床に落とした。
「結局、おれはアカネを救うことができませんでした。ジゼルのように、彼女もまた魔族の手により犠牲となってしまった・・・」
哀れむように、ヴィクトル王は言った。
「お前のせいでは無い・・・。全ては憎むべき魔族、そしてゴーディアだ」
しかし、そう言った後、王はこう付け加えた。
なぜなら、まだ王には腑に落ちないことが一つ残っていたのだ。
「だがな、わたしにはどうしてもそのクロウという即位したばかりの国王の考えが理解できぬのだ。ゴーディアの元老院が、あれ程我国との戦を避けたがっていたにも関わらず、なぜこんなにも急に停戦条約を破り捨てた・・・! その、クロウ王とやらは一体何を企んでおる・・・!?」
ヴィクトル王は珍しく取り乱しているようであった。
何の罪もない商船の乗組員を殺すという卑怯なゴーディアのやり方と、苦労してやっとのことで漕ぎ着けた十年前の停戦条約を見事に破り捨てた新国王クロウにひどく立腹していた。
「陛下、実は・・・、まだ先程の話には続きがあるのです」
申してみよとでも言うように、ヴィクトル王は小さく頷いた。
一通りのことを話し終えたフェルデンは、静かにヴィクトル王の反応を待った。
ヴィクトル王は、裏で何やら良くない者の手が回っていることを改めて感じることとなった。
「任務の報告、ご苦労だった・・・。予想以上に困難な旅となったようだな。アカネのこと、誠に残念であった・・・」
フェルデンはふっと視線を床に落とした。
「結局、おれはアカネを救うことができませんでした。ジゼルのように、彼女もまた魔族の手により犠牲となってしまった・・・」
哀れむように、ヴィクトル王は言った。
「お前のせいでは無い・・・。全ては憎むべき魔族、そしてゴーディアだ」
しかし、そう言った後、王はこう付け加えた。
なぜなら、まだ王には腑に落ちないことが一つ残っていたのだ。
「だがな、わたしにはどうしてもそのクロウという即位したばかりの国王の考えが理解できぬのだ。ゴーディアの元老院が、あれ程我国との戦を避けたがっていたにも関わらず、なぜこんなにも急に停戦条約を破り捨てた・・・! その、クロウ王とやらは一体何を企んでおる・・・!?」
ヴィクトル王は珍しく取り乱しているようであった。
何の罪もない商船の乗組員を殺すという卑怯なゴーディアのやり方と、苦労してやっとのことで漕ぎ着けた十年前の停戦条約を見事に破り捨てた新国王クロウにひどく立腹していた。
「陛下、実は・・・、まだ先程の話には続きがあるのです」
申してみよとでも言うように、ヴィクトル王は小さく頷いた。


