力説するルイを横目に、エフはしれっとした目を向けて言う。
「んじゃ、なんでこの部屋にはお前の捜している奴らがいないんだ?」
「えっと・・・、それは・・・」
返答に困ってルイは部屋の天井を意味もなく見上げる。古い宿のせいもあり、天井には雨漏りの染みがところどころに広がり、黒ずんでいる。
「まあ、確かにちょっくら前までは誰か居たのは確かだろうがな」
エフが古ぼけた机の上を指指す。
食べかけのパンは乾燥し、肉の骨が二本皿の上に転がっている。ベッドのシーツもくしゃくしゃに乱れているし、奇妙なことに、部屋のドアの鍵は壊されていた。
「この部屋で何かあったのかも・・・」
ルイは何か胸騒ぎを感じた。
「入港したときに隣にいた親爺が話していたこと覚えてるか?」
エフは二人がリストアーニャの港に着いたとき、先に着いていた商船の乗り組み員の男が話していた内容のことを言っていた。
「えーと、突然突風が起こって競り市の会場ごと国外まで吹っ飛んだとかなんとかの話ですか?」
そう自分で言っておきながら、ルイははっとして口を押さえた。
(風!? まさか・・・)
あのときは、噂好きの親爺の戯言程度にしか思っておらず、聞き流していたルイだったが、今思うとどうも引っ掛かる。
「んじゃ、なんでこの部屋にはお前の捜している奴らがいないんだ?」
「えっと・・・、それは・・・」
返答に困ってルイは部屋の天井を意味もなく見上げる。古い宿のせいもあり、天井には雨漏りの染みがところどころに広がり、黒ずんでいる。
「まあ、確かにちょっくら前までは誰か居たのは確かだろうがな」
エフが古ぼけた机の上を指指す。
食べかけのパンは乾燥し、肉の骨が二本皿の上に転がっている。ベッドのシーツもくしゃくしゃに乱れているし、奇妙なことに、部屋のドアの鍵は壊されていた。
「この部屋で何かあったのかも・・・」
ルイは何か胸騒ぎを感じた。
「入港したときに隣にいた親爺が話していたこと覚えてるか?」
エフは二人がリストアーニャの港に着いたとき、先に着いていた商船の乗り組み員の男が話していた内容のことを言っていた。
「えーと、突然突風が起こって競り市の会場ごと国外まで吹っ飛んだとかなんとかの話ですか?」
そう自分で言っておきながら、ルイははっとして口を押さえた。
(風!? まさか・・・)
あのときは、噂好きの親爺の戯言程度にしか思っておらず、聞き流していたルイだったが、今思うとどうも引っ掛かる。


