身体の思うように動かないクリストフは、ボリスのもう一つの手に引っかかってしまった。
「眠れ」
術を掛けられて、ぱたりと砂の上に倒れこんだクリストフは、一瞬にして深い眠りに落ちてしまっていた。
ボリスは耳につけた小さな黒いピアスに触れた。
「あの首飾りの魔光石は偽物だ。本物はこっちだってな」
役立たずと言われ続けてきたボリスだったが、今回の働きにはきっとヘロルドも満足してくれることだろうと、ボリスはほくそ笑んだ。
こうした一人の卑怯な裏切り者の手によって、朱音の旅は一挙に転落への道筋を辿ることとなった。
二人が朱音達の宿泊先の宿に到着したのは、翌日の朝であった。
「ほんとにこの部屋だったのか~? そもそも、この宿じゃねえかも」
エフがぼりぼりと頭を掻きながら言った。
「いいえ! ここで間違いない筈です。この地図にもちゃんとそう記してあるじゃないですかっ」
ルイは部屋の窓を開け放つと、ポケットから皺くちゃになった紙切れを取り出し、外の景色とそれを見比べた。
「じゃ、白い鳩が持ってきたその紙切れの地図自体が間違ってるとか」
呆れたようにルイは向かいの宿を指差した。
「ほら、あの宿屋の屋根に丸い三重円のモチーフが描かれているでしょう? この地図にも同じマークの宿が記されています。ということはですね、向かいのこの宿が目的地なんです!」
「眠れ」
術を掛けられて、ぱたりと砂の上に倒れこんだクリストフは、一瞬にして深い眠りに落ちてしまっていた。
ボリスは耳につけた小さな黒いピアスに触れた。
「あの首飾りの魔光石は偽物だ。本物はこっちだってな」
役立たずと言われ続けてきたボリスだったが、今回の働きにはきっとヘロルドも満足してくれることだろうと、ボリスはほくそ笑んだ。
こうした一人の卑怯な裏切り者の手によって、朱音の旅は一挙に転落への道筋を辿ることとなった。
二人が朱音達の宿泊先の宿に到着したのは、翌日の朝であった。
「ほんとにこの部屋だったのか~? そもそも、この宿じゃねえかも」
エフがぼりぼりと頭を掻きながら言った。
「いいえ! ここで間違いない筈です。この地図にもちゃんとそう記してあるじゃないですかっ」
ルイは部屋の窓を開け放つと、ポケットから皺くちゃになった紙切れを取り出し、外の景色とそれを見比べた。
「じゃ、白い鳩が持ってきたその紙切れの地図自体が間違ってるとか」
呆れたようにルイは向かいの宿を指差した。
「ほら、あの宿屋の屋根に丸い三重円のモチーフが描かれているでしょう? この地図にも同じマークの宿が記されています。ということはですね、向かいのこの宿が目的地なんです!」


