「旦那!」
ボリスが駆け寄ってくる。
「あんた、ほんとスゲエな! ありがとよ、俺たちを逃がしてくれて! ガキんちょどもの分も礼を言うよ!」
満面の笑みを浮かべて、ボリスはクリストフの手を握った。
国外へと無事出たものの、子ども達が大変なのは恐らくこれからだ。まだリストアーニャに住む親兄弟と再会するには相当の苦労がいるだろう。
「アカネお姉ちゃんが約束を守ってくれたんだよ!! やっぱり、アカネお姉ちゃんはアルテミス様だったんだ!! じゃなきゃ、こんなことできないもん!!」
テントから這い出てきた赤毛の少女が目を輝かせながら他の子ども達に話している。
クリストフはその言葉を聞き逃さなかった。だるい身体を起こし、ゆっくりと少女に近付いていった。
「君はアカネさんを知っているんですね?」
驚いて警戒した様子の少女だったが、クリストフが朱音の知り合いと分かると、荷馬車でのことを話して聞かせてくれた。
「では、やはりアカネさんはこのテントにはいないんですね・・・」
溜息をついたクリストフの姿を見て、少女は言った。
「アカネお姉ちゃんは、サンタシに連れて行かれると奴隷売りの人達が言っていたよ。サンタシの王様に会わせるって男の人達が話してた」
少女達が散り散りになって去った後、クリストフはほっと息をついた。サンタシまで連れて行かれるとなると、すぐにどうのこうのされるという訳ではなさそうだ。しかし、朱音が目指していた旅の終着点に、囚われの身で向かうことになろうとは皮肉なものだった。
「ボリス・・・。もうリストアーニャから脱出できたのですから、後は好きに行きなさい。」
かと言ってまだ安心はできない。この先、どのルートで朱音がサンタシへと連れて行かれるかはわからないが、まだま小国は治安がよくないところもたくさんあり、途中に賊が出て襲われるという可能性も無きにあらず。それに、無事にサンタシに到着できたにしろ、サンタシの国王ヴィクトルが朱音の姿を見たらどうなることか。憎き敵国の新国王とわかれば、どんな行動に出るかわからない。
ボリスが駆け寄ってくる。
「あんた、ほんとスゲエな! ありがとよ、俺たちを逃がしてくれて! ガキんちょどもの分も礼を言うよ!」
満面の笑みを浮かべて、ボリスはクリストフの手を握った。
国外へと無事出たものの、子ども達が大変なのは恐らくこれからだ。まだリストアーニャに住む親兄弟と再会するには相当の苦労がいるだろう。
「アカネお姉ちゃんが約束を守ってくれたんだよ!! やっぱり、アカネお姉ちゃんはアルテミス様だったんだ!! じゃなきゃ、こんなことできないもん!!」
テントから這い出てきた赤毛の少女が目を輝かせながら他の子ども達に話している。
クリストフはその言葉を聞き逃さなかった。だるい身体を起こし、ゆっくりと少女に近付いていった。
「君はアカネさんを知っているんですね?」
驚いて警戒した様子の少女だったが、クリストフが朱音の知り合いと分かると、荷馬車でのことを話して聞かせてくれた。
「では、やはりアカネさんはこのテントにはいないんですね・・・」
溜息をついたクリストフの姿を見て、少女は言った。
「アカネお姉ちゃんは、サンタシに連れて行かれると奴隷売りの人達が言っていたよ。サンタシの王様に会わせるって男の人達が話してた」
少女達が散り散りになって去った後、クリストフはほっと息をついた。サンタシまで連れて行かれるとなると、すぐにどうのこうのされるという訳ではなさそうだ。しかし、朱音が目指していた旅の終着点に、囚われの身で向かうことになろうとは皮肉なものだった。
「ボリス・・・。もうリストアーニャから脱出できたのですから、後は好きに行きなさい。」
かと言ってまだ安心はできない。この先、どのルートで朱音がサンタシへと連れて行かれるかはわからないが、まだま小国は治安がよくないところもたくさんあり、途中に賊が出て襲われるという可能性も無きにあらず。それに、無事にサンタシに到着できたにしろ、サンタシの国王ヴィクトルが朱音の姿を見たらどうなることか。憎き敵国の新国王とわかれば、どんな行動に出るかわからない。


