そうはっきりとクリストフに断られても、まだ尚諦めきれない様子で、男は懸命に二人に頭を下げ続けた。
「無理を言ってるのは承知だ! でも、あんた達を逃したらきっとあっしは二度とこの国を出られねぇ・・・。この国は皆金の亡者ばかりだ。な、哀れな男を助けると思って、頼む!」
この国では逃亡した奴隷を捕まえた者には、奴隷所有者から謝礼金が下りることになっている。男が言いたかったのはずばりそのことだった。
この男は、どうやら逃亡中の奴隷の一人のようだ。
あまりに必死な男の様子に、朱音はだんだん男が可哀相に思えてきた。ここで男を見捨てて去ってしまうにはあまりに薄情な気がした。
「クリストフさん、可哀相だよ、検問所を出るまでならいいんじゃない?」
朱音の言葉に困惑したように、クリストフは、
「しかし・・・」
と、言葉を続けた。
「何事も無く検問所を通り抜けることができたらいいですが、仮に彼が逃亡中の奴隷だとわかったら、大変なことになります」
そしてその言葉の後は、朱音にそっと耳打ちした。
『アカネさんの正体まで調べられでもしたら収集がつかなくなってしまいます』
青くなって、朱音はしゅんと下を向いてしまう。
クリストフの言うように、もし検問所で朱音の正体がばれでもしたら、きっとこの旅はここで終息することとなり、朱音はゴーディアに無理矢理連れ戻されることとなるだろう。それに、朱音を無断で連れ出した罪で、クリストフもただでは済まされない筈だ。
「無理を言ってるのは承知だ! でも、あんた達を逃したらきっとあっしは二度とこの国を出られねぇ・・・。この国は皆金の亡者ばかりだ。な、哀れな男を助けると思って、頼む!」
この国では逃亡した奴隷を捕まえた者には、奴隷所有者から謝礼金が下りることになっている。男が言いたかったのはずばりそのことだった。
この男は、どうやら逃亡中の奴隷の一人のようだ。
あまりに必死な男の様子に、朱音はだんだん男が可哀相に思えてきた。ここで男を見捨てて去ってしまうにはあまりに薄情な気がした。
「クリストフさん、可哀相だよ、検問所を出るまでならいいんじゃない?」
朱音の言葉に困惑したように、クリストフは、
「しかし・・・」
と、言葉を続けた。
「何事も無く検問所を通り抜けることができたらいいですが、仮に彼が逃亡中の奴隷だとわかったら、大変なことになります」
そしてその言葉の後は、朱音にそっと耳打ちした。
『アカネさんの正体まで調べられでもしたら収集がつかなくなってしまいます』
青くなって、朱音はしゅんと下を向いてしまう。
クリストフの言うように、もし検問所で朱音の正体がばれでもしたら、きっとこの旅はここで終息することとなり、朱音はゴーディアに無理矢理連れ戻されることとなるだろう。それに、朱音を無断で連れ出した罪で、クリストフもただでは済まされない筈だ。


