「ち、ちょっとっ!!」 力いっぱい月野を押してみてもびくともしない。 逆に力が強まるばかり。 「何があったか知らねぇけど、顔に辛いって出てんのバレバレなんだよ」 抱きしめる力を強めながら言う。 「女に泣かれるのは嫌いだけど…」 月野は体を少し離して、私の方に顔を向ける。 そして、少し視線を反らして、 「…………お前なら泣いてもいい」 そう言った。