………………航の立ち去っていく気配がする。




許せない…

すごい力で抱きしめてくる高木を力任せに押し返した。



「おー、ハナちゃん。……おこってる?」



「……っ当たり前でしょ………なんで………なによ、………なんなの………なんで………………なんで…よー……………高木ぃ…」





涙がとまらなかった

胸が苦しくて苦しくて…



「ねぇ、俺、あいつのこと嫌い…
ハナちゃんに、悲しい表情させるから。
ハナちゃんを、泣かせるから」




「……ち…がう……あたしが…あたしが勝手に…………」




「ねぇ…泣かないで。

ハナちゃん、必要とされなくても俺はずーっと側にいるから、だから…泣かないで」











段々と高木の顔が近づいてくる…




キスが出来そうな近さまできたとき、







「………だめだ。…ごめん、弱ってるとこにつけこんで。最低だね俺。……ハナちゃん、履修登録しにいかなきやっ……ね?いこ、」




「………高木…。」





高木はあたしの手を握って”恋人つなぎ”と嬉しそうにいつものヘラヘラ笑顔に戻っていた。




あたしはその手を振りほどくこともせずに初めて高木の優しさに気付いた。


もしかしたら、この人はほんとにあたしのことがスキなのかな?、
なんて不覚にも思ってしまうほど。