「会長助かったよ、ここでいいよ」 「でも、まだ職員室前だし樋村重くない?」 「大丈夫、ありがとう」 「そっか」 小春はコードの先っぽを、樋村に渡すとよちよち歩く樋村の後ろ姿を見送った。 放送室に向かう曲がり角で彼の背中が見えなくなるまで。 (そういや、樋村が五、六年かかったってなんでだろう?) 疑問が浮かんだのは、樋村がいなくなってからだ。 深く考えても仕方ないと、小春は一呼吸して生徒会室に向かった。