鈴の音が響く頃


私は持ってきたお弁当を広げ、小さい紙皿にみんなの分を分ける


前の時代と今の時代とじゃ
食べ物も食生活も
何もかもが違うから

最初はウインナーとか
ミートボールとか
卵焼きとか

そういう普通にあるもの全てに驚いていたけど
みんなだいぶ慣れてくれた


…こんな小さい姿だと、
本人たちにとっては
ミートボールすら超巨大な肉の塊になっちゃうんだけどね


『すまないな、響古。我々は、食事をする必要は無いのだが…』

「やっぱコレうめぇ!!!!!」
声のした方を見ると
紅が紙皿に乗っかり、
自分の腰ほどある
大きなハンバーグに食らいついていた

…冷凍ハンバーグだから、
美味しいのは当たり前なんだけどね



『この時代の食べ物はやけに魅力的に感じるな』


そう言いながら
楓ちゃんは卵焼きを
とても美味しそうに食べていた


「ああ…卵焼き、と言ったかな?俺はこれが一番好きだな」

「ほ、ほんとですか?!?!」


卵焼きは私の手作り

それを人に美味しいって言ってもらえる…
こんなに嬉しいことなのか…