「…ぅぅ…」
『鈴姫…!!なんでこんなときに…』
ドジを、発揮してしまった
「…大丈夫…か?」
ハッと我に帰り
勢いよく顔をあげる
私と、彼の目が合う
なんて真っ黒な瞳
曇りのない、純粋な黒
そして結構、かなり、整った美しい顔立ち
景色や、空
その全てが彼を美しく見せるために配置されたような
とにかく、私は魅入ってしまった
「…おい」
「っは、はい!!!!!」
勢いよく起き上がり、
何故か背筋を正す自分
心臓が、鳴り止まない
「…お前」
ザ――――――――ッ…
「あっ!!!!」
突然の、
豪雨
なんで?
さっきまで晴れてたのに…
「いきなり降ってきたな…」
よく見ると、彼はもう
ずぶ濡れになっていた
「いけない…」
このままでは、お風邪を召されてしまう
回りを見回しても、
建物らしきものは見当たらない
「仕方ない…縁、力をお借りします」
宙に水晶をかざす
「汝、我の身を守りたまえ」
パァン!!!
音と共に半透明の球体ができ、雨が遮断される
敵の攻撃から守るための術だ

