…美しかった
彼を最初に見たときの
最初に思ったこと
小さな小川が流れる
小さな花畑
彼はそこにいた
青空と
森の緑と
花ばながおりなす
多種多様な色
その中の黒
風が吹く度
その黒い髪は風に揺れ
良質とは言えない、
でも品のいい着物の袖も揺れる
でも
私が見ているのは後ろ姿
顔や瞳は
どんな色をしているんだろう―…
私は吸い寄せられるように
その人の方へ
ゆっくり、ゆっくり
歩み寄っていた
『鈴姫!!!!!!』
楓が叫ぶのと、
小枝を踏み、姿勢を崩し
勢いよく どちゃっと
コケるのとが
同時だった

