鈴の音が響く頃


そんな人、村の中では見ていない


もしかしたら、異国の人間が
ここに迷い混んだのかもしれない

…それか、敵襲か


地主神の楓が感じているのだから、確かなのだろう



「…わかりました。」


『本当か?!』


「ええ。珍しい、地主神さまのお願いですもの」


『おお…感謝する、鈴姫』


相当、安心したのだろう
うつ向いていた楓が
いつものように明るく
私に微笑んだ



ぴょんっと木から飛び降り、
地面に着地する


…昔はよく、羽織っていた着物の裾を引っ掻けたり
踏んづけたりして、
よく転んでたけど
最近になってようやく慣れたものだ


『…鈴姫、まだそんな変な格好、やめないのか?』


楓が訝しげに私を見る


「これは、今から1000年後の流行をさきどりしたものなのですよ!」




私の格好は、たしかに
この時代の者からしたら
理解できない服装に違いない


ぶらうす、という
首もとが布でひらりと覆われ

首から黒い紐で
りぼん、とやらをしている

そして袴という紺色の着物を着、


赤と白の着物を肩から羽織っている


帯は使わない


この服装は画期的だ
重たくないし苦しくないし
開放的

そして動きやすい!


本当は着物も羽織りたくないのだけど
さすがに皆の目が痛いので、
羽織るに留まっている


…羽織る、といっても
楓の羽衣のように
袖を通しているだけで
肩にはかかっていないのだけど


でも私はこの格好が気に入っている